今年の抱負

 

「ものづくり」

日本には世界一、唯一無二の技術が幾つかあります。その中に「玉鋼」があります。ご存知、日本刀(固い、折れにくい、美しい)の素材です。現在では島根県奥出雲町大呂 (おおろ) のたたら製鉄でしか産出されません。

たたら製鉄の玉鋼は半溶融 (はんようゆ) という、炭素が均一に溶けきっていない状態になっています。炭素の量が不均一であることが、鍛錬に耐えて美しく仕上がる理由であると現代の研究でわかっています。機械では、この絶妙なムラのある状態を作ることができません。また粘りを生み出すヒモ状の不純物も機械では出来ず、熟練と観察力が必須と言われています。

住まいづくりは、工場で製品にされた物を現場で加工して固定したりの人為的作業が必要です。塗料などの流動体も、現場で混合して塗り伸ばし固形化させますから、やはり人為的作業が必要になります。ですから、其々の人間の感性やセンスに仕上がりの良し悪しが左右されることになります。

私はできる限り現場にいて、個々の作業員に気を配るようにしています。なんでも機械化され得るような時代ですが、最後は結局は「人」が鍵を握っている様に思います。これからも、コツコツと地道に努力する人、目標を高く保ちながら創意工夫に富んだ人が素晴らしいもの、美しいものを作り出すことでしょう。リフォーム会社として体を成すこと自体、非常に厳しい時代ですが、ものづくりに希望を持ちたい次世代への繋ぎの一欠片になれたら本望です。